chakokuのブログ(rev4)

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ComSIG講習会2011に参加

リハ工学協会主催の講習会に参加、テーマは、『利用者に寄り添う新しい技術・機器,支援方法を学ぶ』として午前はパネルディスカッション、午後はコミュニケーション支援機器のデモ、試用というプログラムで開催された。

午前中のディスカッションでは、大学の研究者や現場で支援に携わったの方々が、失敗談や、支援におけるあるべき姿等が話し合われた。自分が学んだポイントは以下

  • 高い技術が優れているのではない、その人に合った技術を提供する
  • 誰の要望なのかよく見極める(ご本人の要望か、家族の要望か、要望がどこから来ているのかをよく確認する)。
  • 要望を正しく引き出す。「何も支援は要らない」という人もいるがその裏にある意思を掘り下げる(家族に遠慮しているとか)。見せかけのニーズに惑わされない。
  • 健常者と同じ様に行えるようにするというアプローチでは限界がある。手段に拘らずやりたい事が実現できればいい(人を呼ぶのに動く部位を使う。舌が動くのなら、舌打ちで人を呼んでもいい)
  • 支援が具体的になれば要求もより具体的になる。最初から決め付けてはいけない。
  • 支援とは試行錯誤する機会を生み出すと考えよう。たとえ導入した機器が使われなくても、その人の何かが変わればそれが成果。

最新の機器を使った支援という話題で、スマフォのアプリ;「親筆」を使って、ALSの患者さんが指で文字を書くという話をされていました。この指筆は、タッチパネルに指でなぞればそれが縮小されて罫線上に書かれるというメモソフトで、普段自分も使っているアプリでした。そういう応用はなかなか気づかないので、そんな使い方もできるのか?と驚きました。


午後は機器のデモと実際の試用

日本福祉大学、渡辺先生の研究、「ポインティングデバイス操作におけるカーソル移動制御ソフトウエアの試作」
体の不自由な人がトラックボール等を使う場合、まっすぐ設置できない、あるいは、カーソルを直線的に操作できず軌跡が傾く、あるいは、蛇行するというった問題に対して、カーソル移動を補正したり、移動ベクトルを制限することで安定して操作できるように支援するソフトウエアの開発。例えば、寝転がってトラックボールを操作する際、トラックボールの設置を上下逆向きに設置したりしても、このソフトを使えば動作を反転させることも可能。これは確かに便利では?と思った。実装は.NETを使い、デバドラレベルではなく、アプリとして常駐させるとのこと。


バンダイナムコのトーキングエイド for iPadはこれまでの専用ハードではなくiPadによる実装である。専用機に比べ、汎用機を使った製品の場合、ハードコストが低く抑えられるのが利点とのこと。またiPADが持つインターネットとの通信機能を使えばメール等が簡単に行える。

専用機がいいか、汎用機がいいか?は各社いろいろな意見があり、コストや機能面(ネット接続や各種アプリ)では汎用機の方が優位である。現場では、機器がどう使われるかが重要で、障害のある方の使い方とも関係していて、機構的な支援がないと操作できない場合(ボタンのサイズ(細かい操作ができない)、立体的造形(目が不自由))は、機構を備えたハードが必要なので、専用機で正しいUIを作りこむ必要があると思う。


日立のエアペン文字盤、心たっちは、支援者が視線を追いかけて文字を特定するのに必死で、肝心の文書を忘れてしまうというのを解消するため、読み取った文字にデジタルペンでタッチすることで、文字をPCや端末に記録させるというもの。これは効果が分かりやすいですね。エアペン自体は、ぺんてるの製品らしいです。


NPO法人、お世話宅配便による、Wiiを用いたリハビリへの活用。写真は足の乗せた台(シーソーのように動く)にWiiリモコンが付けられていて、足で操作できる。その他、Wii-Fitのバランスボードを板を乗せて、その板の上で車椅子にのって操作するという装置(ノッテコン)も展示されていて、車椅子の方も安全に体を動かすトレーニングができる。ファミリー向けの作りこまれたWii-Fitのコンテンツだけに、簡単に楽しめるし熱くなる。


パシフィックサプライからは、各種スイッチ類、レッツチャット等のデモ。ほんの少しの指や手の動きを検知できる空気圧センサもあったのですが、「間違ってナースコールしてまったりしませんか?」と質問したところ、「一定時間内に何回検知したか?を設定できるので、そういう条件付きにすれば、誤ってコールすることがある程度防げる」とのこと。確かに効果ありそうですね。

まとめ

現場の方々や第一線の研究者の方々の意見を聞く事ができ、特に支援技術系の研究会なので、分かりやすかった。その中でも、どうしても技術優先や健常者から見た正常化という陥りやすい失敗についても何度も言及され、学ぶところが多かった。参加した会場では若い人がとても多く、活気があり、支援の分野はますます広がるという印象を持ちました。自分も元気をもらった。。

■ご参考URL
日本リハビリテーション工学協会
http://resja.gr.jp/index.html